産業廃棄物の積替え保管施設(仮置き場)を作りたいのだけどどうしたらいいのか?という言葉をよく耳にします。土地があるが、そこで産業廃棄物の詰替保管施設(仮置き場)として設置することはできるのだろうか?など、話を聞きに行ったが難しそうな手続きでよくわからないといた方も多いのではないでしょうか。
本記事では、この記事では積替保管許可制度の概要と取得の要件について解説していきます。
産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)とは?

詰替え保管は、例えば3トン車で収集したものをそのまま処分場まで運搬するのは効率が悪いため、一度保管場所に集積し、10トン車に詰め替えて処分場まで運搬するという運用方法が基本です。
詰替え保管は運搬効率を上げることができるのですが、『詰替え保管の許可』がなければ運搬途中で積荷を降ろしたり、積荷を抜き取ったりすることはできません。産業廃棄物の運搬では、排出された場所から中間処理施設まで直行するのが原則だからです。
しかし産業廃棄物の排出場所と中間処理場の立地(距離)や収集する産業廃棄物の量、収集のタイミングなどによっては、運搬途中の産業廃棄物を自社の保管場所に一時的に降ろしたり、別の車に積み替えたりする必要が出てきます。
このような場合に「積替保管許可」が必要になります。
産業廃棄物収集運搬業の種類
積替保管許可制度は、収集運搬許可(産業廃棄物収集運搬業)の一つなので、通常の産業廃棄物収集運搬業ではなく「産業廃棄物収集運搬業(積替保管あり)」を取得しなければなりません。
| 名称 | 許可の内容 |
| 産業廃棄物収集運搬業(積替保管なし) | 産業廃棄物の排出場所で積み込みを行う産業廃棄物の処理施設で積荷を降ろす |
| 産業廃棄物収集運搬業(積替保管あり) | 産業廃棄物の排出場所で積み込みを行う自社の保管施設などで積荷を一時保管する積荷の産業廃棄物を別の車に積み替える産業廃棄物の処理施設で 積荷を降ろす |
積替保管許可があれば、排出事業者の許諾を得ることで積荷の産業廃棄物から「有価物」を抜き取ることができます。
詰替保管許可制度はメリットの多い制度に見えますが、産業廃棄物の責任の所在があいまいになってしまうおそれがあります。例えば、X社とY社の廃棄物が保管場所で混ざり合い、それをZ処分場まで搬出する場合、X社の廃棄物がZ処分場に持ち込まれたかを確認することが難しいためです。
積替保管許可が必要なケース

積替保管許可が必要かどうかは、「運搬行為の連続性」や運搬中の行動によって判断します。
運搬行為の連続性とは、産業廃棄物を排出場所で積み込んでから処理施設で降ろすまでの行為が「連続」して行われているかどうかで判断します。
「静岡で産業廃棄物を積み込み新潟の処理場へ運ぶ際に、途中のパーキングでゴミを積んだまま休憩して一晩過ごす」という事例においては、「連続性」が認められ、「産業廃棄物収集運搬業(積替保管有り)」の許可は必要ありません。
しかし、運搬中の産業廃棄物をいったん降ろしたり、別の車に積み替える場合は積替保管許可の対象となります。
積替保管許可に求められる要件
廃棄物処理法施行規則
第10条 法第十四条第五項第一号(法第十四条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
1 施設に係る基準
イ 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
ロ 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
①基本要件
- あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められていること
- 搬入された産業廃棄物の量が、積替え場所において適切に保管できる量を超えないこと(1日当たりの平均搬出量×7)
- 搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
設置要件は必ず各自治体に事前相談をして把握しておくようにしてください。
①施設に囲いを設ける
②施設に掲示板を設ける
③飛散・流出・浸透・悪臭の防止措置をとる
④害虫・害獣の発生防止措置をとる
は最低限必要になります
産業廃棄物の積替保管許可取得の流れ

積替保管許可の取得手順は自治体によって決められています。ここでは一般的な許可取得の流れを説明します。
①自治体への事前相談
産業廃棄物の種類や積替保管方法をまとめて、申請先の自治体と事前相談を行います。
②事前計画書の作成・提出
相談結果に基づいて事前計画書を作成して提出します
③事前計画書の審査
事前計画書の審査を受けます。問題がなければ施設や容器の設置工事を行います。
④現地調査
施設や容器の設置が完了した時点で現地調査を行います。
⑤許可申請書の作成・提出
現地調査の結果に問題がなければ許可申請書の作成・提出を行います。
⑥審査〜許可証の交付
許可申請書の審査が行われ、内容に問題がなければ許可証が交付されます。
まとめ
産業廃棄物の積替保管許可の申請手続きは半年〜2年程度と期間を要しますが、自治体と相談しながら手続きを進めましょう。
また、産業廃棄物の保管施設には法律で基準が定められているので、基準を満たす必要があります。産業廃棄物の種類や性質ごとに適切に保管するようにしましょう。


