産業廃棄物処理委託契約書とは?記載内容と注意点について解説!

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産業廃棄物を排出する事業者は、収集運搬業者又は処分業者と契約を締結する必要があります。

実際の現場では、この書面を「委託契約書」と呼ぶのですがこちらの内容に不備があると、罰則が適用されるおそれがあります。

本記事では、委託契約書の内容や注意すべきポイントについて解説していきます。

廃棄物処理の原則について

廃棄物処理法 3条(事業者の責務)
事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 事業者は、前二項に定めるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

法にも規定されているように、「事業者が事業に伴って生じた廃棄物については自らの責任において適正に処理する」が大原則となっています。

しかし、現実はそれぞれの事業者が処理をすることはしておらず、自らの責任において委託することになります。他社に廃棄物の処理を委託するため、各工程においてきちんと処理が行われているのか、確認をする必要があります。

ここで必要になるのが、「委託契約書」となります。不備のある委託契約書を締結してしまえば、排出事業者の責任を果たせていないことになります。必ず確認をしておきましょう。

委託契約の原則

契約の締結にあたっては下記の基準を守る必要があります。

◯二者間で契約を締結する
⇒排出事業者は収集運搬業者・処分業者とそれぞれで締結をします。
◯必ず書面で契約する
⇒口頭では認められません。
◯契約書に許可証等の写しを添付する
⇒許可を受けている内容について確認をします。
◯法令で定められた事項を記載する
⇒必要な項目は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行令」及び「施行規則」で定められています。
◯契約終了後も5年間保管しておくこと

委託契約書への記載事項

廃棄物処理法施行規則 (委託契約書に添付すべき書面)
第八条の四の二 令第六条の二第四号ヘ(令第六条の十二第四号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 委託契約の有効期間
二 委託者が受託者に支払う料金
三 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲
四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本産業規格C〇九五〇号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項
(1) 廃パーソナルコンピュータ
(2) 廃ユニット形エアコンディショナー
(3) 廃テレビジョン受信機
(4) 廃電子レンジ
(5) 廃衣類乾燥機
(6) 廃電気冷蔵庫
(7) 廃電気洗濯機
ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨
ヘ その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
七 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
八 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
九 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項

非常に長い内容になっておりますが、まとめると以下の通りになります。規定により、「収集運搬に関する事項」「処分に関する事項」分けられます。

共通事項

・他人の産業廃棄物の運搬または処分を業として行うことができる者で、委託する産業廃棄物が
 事業範囲に含まれていることを証する書面(許可証など)の添付
・産業廃棄物の種類及び数量
・委託契約の期間
・契約金額
・受託者の事業の範囲
・産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
・産業廃棄物の性状の変化に関する事項
・産業廃棄物の混合等により生ずる支障に関する事項
・C0950含有マークの表示に関する事項
・石綿含有産業廃棄物が含まれる場合、その旨
・その他産業廃棄物取扱いの注意
・産業廃棄物の情報に変更があった場合の伝達方法
・受託業務終了の報告
・契約解除時の産業廃棄物の取扱い

収集運搬委託契約書にのみ必要な項目

・運搬の最終目的地の所在地
・積替保管を行う場合は、保管場所の所在地、保管する産業廃棄物の種類・保管上限
・安定5品目の積替保管を行う場合は、積替保管場所で他の廃棄物と混合することの許否

処分委託契約書にのみ必要な項目

・処分または再生の場所の所在地、処分方法、施設の処理能力
・最終処分の場所の所在地、処分方法、施設の処理能力
・輸入廃棄物の場合はその旨

まとめ

弊所では産業廃棄物収集運搬/処分事業者様の運営サポートも致しております。疑問点に関しましては、産業廃棄物処理業務に精通した行政書士に相談することをお勧めします。弊所までご相談いただけると幸いです。